つや姫マイスター日記

つや姫の生育状況や田んぼでの作業の様子、実際作付けしている生産現場から生産者の生の声をレポートしていきます。

2024.03.22

3月19日(火) 「山形おいしさ極める!米づくりプロジェクト食味コンクール」で山形つや姫マイスターが入賞!

 3月11日に令和6年産「つや姫」「雪若丸」キックオフフォーラムが開催され、その中で、令和5年度山形おいしさ極める!米づくりプロジェクト食味コンクールの表彰式が行われました。このコンクールは、「つや姫の部」、「雪若丸の部」、「はえぬきの部」の3部門となっており、県内各地の生産者のお米が審査されました。

 外観品質や食味に関わる成分分析を行い、最終的には実食による厳正な評価が行われ、最優秀賞、優秀賞、優良賞が決まります。

 今年度、「雪若丸の部」で栄えある最優秀賞(山形県知事賞)を受賞したのは、株式会社金子農園の金子和徳さん(高畠町)、また、「はえぬきの部」では鈴木寛幸さん(飯豊町)が最優秀賞(山形県知事賞)を受賞しました。お二人はともに置賜地域のつや姫マイスターです。

 

 金子マイスターは、「『つや姫』はスマートな体、『雪若丸』は筋肉質な体をつくるイメージで、肥培管理を行い、美味しくかつ、収量を確保することを目指している。『雪若丸』はお客様から常に『おいしい』という声をいただき、ブランド価値の高まりを実感している。これからも高品質米の生産を続け、こだわりをもって栽培していきたい。」と述べられました。

 

 鈴木マイスターは、「県の普及指導員の方々やつや姫マイスターの諸先輩方の指導もあり、高温の年ではあったが、美味しいお米をつくることができた。これを通過点として、これからも基本技術を徹底して高品質・良食味のお米を栽培していきたい。」と述べられました。

 

 高品質・良食味のお米を全国の消費者の皆さんにお届けするために、つや姫マイスターは日進月歩で栽培技術に磨きをかけています。これからも、「つや姫」をはじめとする山形県産米にご期待ください。

【西置賜農業技術普及課】

受賞者のみなさん 前列右から4人目:金子マイスター(高畠町) 前列右から3人目:鈴木マイスター(飯豊町)

受賞者のみなさん
前列右から4人目:金子マイスター(高畠町)
前列右から3人目:鈴木マイスター(飯豊町)

2024.02.19

2月7日(水) 一番の「つや姫」を決める!「つや姫」 おいしさの神コンクール審査会開催

 今年で3回目の開催となった「つや姫」おいしさの神コンクール。このコンクールは、「山形つや姫マイスター」が栽培した「つや姫」をマイスター自らが「つや姫」炊飯米を食べて審査を行い、最もおいしい「つや姫」を決めるものです。これまでのマイスター日記で紹介されているとおり各地域で白熱した予選が行われ、勝ち抜いた9点の「つや姫」が出品されました。

 まずは、9点のうち決勝に進む3点を決めるための審査が行われます。もちろん「つや姫」炊飯米を食べて「おいしい」と評価が高かった3点が、決勝審査の舞台でしのぎを削ります。決勝まで残ったマイスターの自慢の「つや姫」です。この中から最もおいしい「つや姫」を決めるとあり、審査するマイスターの顔色も多様で、悩み抜いているマイスター、おいしさに感動して笑顔になっているマイスターなど、審査は困難を極めましたが、わずかな差で、ゴールドマイスターは大石田町の土屋隆志さん、2位のシルバーマイスターは最上町の海藤力さん、3位のブロンズマイスターは朝日町の堀吉和さんに決まりました。

 審査会後の交流会では、受賞された方の「つや姫」栽培におけるこだわりや工夫等、特に令和5年の異常高温の中、どのようにしてこれほどおいしい「つや姫」に仕上げたのか根掘り葉掘り聞きながら、令和6年産の「つや姫」生産について、ゴールドマイスターになるための道のりのイメージを膨らませて、決意を新たにしておられました。「つや姫」のおいしさを極める取り組みはさらに続いていきます。

【農業技術環境課】

決勝審査の様子

決勝審査の様子

受賞者と松澤信矢会長 (左からゴールドマイスター:土屋隆志 氏、シルバーマイスター:海藤力 氏、ブロンズマイスター:堀吉和 氏)

受賞者と松澤信矢会長
(左からゴールドマイスター:土屋隆志 氏、シルバーマイスター:海藤力 氏、ブロンズマイスター:堀吉和 氏)

2024.01.18

1月11日(木) 「つや姫」おいしさの神コンクール最上地域予選が行われました

 最上つや姫マイスターの会による「『つや姫』おいしさの神コンクール」最上地域予選会が開催されました。これは、山形つや姫マイスターの会が主催する「『つや姫』おいしさの神コンクール」に出品する「つや姫」を選定するため、最上地域のマイスター9名が栽培した「つや姫」炊飯米を実際に食べ比べて審査するものです。この結果、本選に進出する上位2名が選出されました。どの「つや姫」も甲乙つけがたい出来栄えとなっており、審査を行ったマイスターも投票の際はかなり悩んだ様子でした。その理由は、当該地域の食味レベルは非常に高く、昨年度の本選において、最上地域からはゴールド(第1位)とシルバー(第2位)受賞者が出ており、当該地域の食味レベルは高まって地域予選といえども超ハイレベルな戦いとなったためです。

 見事、地域代表の座を射止めたのは、最上町の海藤力マイスター、真室川町の齋藤賢人マイスター。昨年は、猛暑の中の水管理やいつもより早い刈取作業など、食味を重視しているからこそ、栽培管理に人一倍苦労しただけに、選ばれたお二人は一際喜んでいました。選ばれなかった方たちは悔しさをにじませながらも、「来年こそは!」と闘志を燃やしていました。

 「『つや姫』おいしさの神コンクール」の本選は2月7日に私達の地元新庄市で行われます。地域の「つや姫」ブランドをけん引するマイスターたちの熱き戦いから目が離せません。

【最上農業技術普及課】

審査を行うつや姫マイスターと職員

審査を行うつや姫マイスターと職員

2024.01.16

1月10日(水) 基本に忠実な「つや姫」づくりで気候変動に打ち勝つ!

 鶴岡市のつや姫マイスター鈴木仁さんに令和5年の「つや姫」づくりをインタビューしました。「令和5年は気象に惨敗。品質・収量には満足していないし、合格点もつけられない。7月20日までは生育は完璧だったんだよ。その後の高温少雨、稲刈り期間の降雨、参ったよ。」と悔しそうでした。

 8月の庄内地域は、これまでに経験のない記録的な高温少雨となっていました。このような中、鈴木マイスターは根の活力が維持されるよう、例年以上にメリハリのある間断灌水を行い、「つや姫」は全量1等となりました。そして、昨年12月に行われた「『つや姫』おいしさの神コンクール」庄内地域審査会では第2位を獲得、「山形おいしさ極める!米づくりプロジェクト」庄内地域本部食味コンクールにおいては、「つや姫」「はえぬき」では優良賞(第2位)、「雪若丸」では地域本部長賞(第1位)を受賞されました。

 「令和5年の反省点を踏まえて、今年は水管理にもっと力を入れて取り組む。根っこに酸素を与える管理は重要。ワキ対策として秋に石灰窒素を入れているが、手応えを感じている。令和6年は冷夏の可能性だってあるが、猛暑だろうが冷夏だろうがどんな天候にも対応できる稲づくりを行っていく。基本技術徹底は当たり前。これまでも、これからも基本に忠実に、かつ、地域に技術が浸透するように取り組んでいく。」と意気込みを熱く語ってくれました。

【庄内農業技術普及課】

庄内地域本部食味コンクール表彰式

庄内地域本部食味コンクール表彰式

次年度の意気込みを語る鈴木マイスター

次年度の意気込みを語る鈴木マイスター

2023.12.13

12月7日(木) 今年の「つや姫」の出来栄えは?

 「我が家の『つや姫』は全量1等でした。」今年の異常高温の影響で県産米の品質が大きく低下している中で、ほっとした表情で今年を振り返るつや姫マイスターの佐藤充さん(遊佐町)。米づくりの秘訣を伺うと、「若い頃に先輩農家から『米の良し悪しは穂の長さと籾の数で決まる』と教わって、ずっと気を付けて栽培してきた。毎年観察しているとその通り、この品種は何cmで何粒がよいというのがあって、『つや姫』も籾の大きさ、籾の数が品質の高まりと収量の安定に大きく関係する。」と、紙と鉛筆を取り出して解説してくれました。

 「多過ぎても少な過ぎてもダメ。そのためには、肥料をやりすぎないこととか、しっかり中干しをして余計な穂が出ないようにすることとか、遅れずに作業を進めることとか。当たり前のことを間違いなく積み重ねることが大切。」

 長年積み重ねてきた知識と経験で、今年の厳しい気象を乗り越えた佐藤マイスター。今年の経験を活かして、来年も美味しい「つや姫」を作りたい、と意気込みを語ってくれました。

【酒田農業技術普及課】

米づくりのポイントを解説する佐藤マイスター

米づくりのポイントを解説する佐藤マイスター

2023.11.17

11月9日(木) 今年の「つや姫」栽培を振り返って

 山形県のほぼ中央に位置する山辺町で「つや姫」を生産している、つや姫マイスターの伊藤洋助さん。今年の収穫・乾燥調製作業を終え、「つや姫」栽培について振り返っていただきました。

 伊藤マイスターは、30haを超える広大な田んぼを管理しています。平野部だけでなく、中山間地域にも圃場があり、中には区画整備のされていないところもあります。水管理には、人一倍の注意を払っており、どんな田んぼでもきめ細やかに管理しています。

 本年は、8月から9月にかけて記録的な猛暑となりました。伊藤マイスターは「例年以上に時間をかけて圃場をまわり、土壌条件や水稲の生育に合わせた水管理を行った。」と話していました。しかし、それでも猛暑の影響は大きく、水のかかりが甘く、生育に満足のいかなかった圃場もあったそうです。伊藤マイスターは、「水管理の重要性を改めて認識した。」と語り、来年の栽培に向けて「水管理の計画を見直した上で、圃場ごとに丁寧に管理を行いたい。」と意気込んでいました。

 取材時は、「つや姫」の圃場で土づくりのためケイ酸資材の散布を行っていた伊藤マイスター。来年度に向けた準備は、すでに始まっています!

【村山農業技術普及課】

玄米の品質を確認する伊藤マイスター

玄米の品質を確認する伊藤マイスター

ケイ酸資材の散布を終えた伊藤マイスター

ケイ酸資材の散布を終えた伊藤マイスター

2023.10.04

9月25日(月) 「つや姫」を刈取りながら思うこと

 今回、お話をお聞きしたのは庄内町生三(いくさん)のつや姫マイスター高橋隆さん。秋の収穫作業も終盤戦となり、作業の合間、今年の「つや姫」づくりを振り返ってもらいました。

 田植え後は強風や低温の影響で生育が一時停滞したものの、季節が進むにつれて生育は順調に経過したとのことです。

 そして8月から9月にかけて記録的な高温少雨。田んぼごとにイネの生育具合や水管理のやり方が異なるので、田んぼ一枚一枚をきめ細やかに管理しました。また、限りある用水が地域行き渡るよう無駄のない水管理を行ったそうです。「あれほどの猛暑でも用水に困らなかった。庄内の米づくりのインフラの凄さを改めて思い知った。」とも話していました。

 ようやく秋の気候となり、稲刈りできることに安堵しながらも、やはり猛暑の爪痕が心配のようです。高橋マイスターは、「異常気象に強い稲に育てるために、堆肥とケイ酸資材を施肥して土づくりに力を入れているが、今年は玄米を見るまでは安心できない。」とおっしゃっていました。

 異常気象が異常でなくなっている。近年よく聞く言葉ですが、今年の猛暑は異常気象が次の段階に進んだことを示しているようにも思えます。

「 想像つかないことが起きている。培ってきた技術と経験を頼りとしながらも、臨機応変な行動、対応が必要になるだろう。」と、来年の米づくりに向けた作戦会議と今年の反省に集中しており、研鑽を重ねてさらに上を目指そうとしています。

 皆様に「おいしい!」と喜んでいただけるように米づくりを頑張っています。今年の新米もお楽しみください。

【庄内農業技術普及課】

高橋隆マイスター

高橋隆マイスター

天気予報では明日は雨。刈取りを急ぎます。

天気予報では明日は雨。刈取りを急ぎます。

2023.10.04

9月25日(月) いよいよ「つや姫」の新米出荷です!

 県北東に位置する最上町のつや姫マイスター、海藤力さんは、家族3人で協力して収穫作業と乾燥調製作業を着々と進めています!

 今年の夏はこれまでにない猛暑で、登熟が早く進んだため、刈り遅れて品質を落とさないよう収穫開始時期を例年より早めました。

 昨年まで水田の管理作業は主に海藤マイスター1人で行っていましたが、「今年は、猛暑を乗り切るために、家族からも田んぼの管理を協力してもらって、なんとか収穫を迎えることができた。」とのことでした。収穫作業では、今年から息子の鷹(たかし)さんにコンバインのオペレーターを任せています。海藤マイスターはサポートに徹しつつ、後継者を育てるため、これまで培ってきた技を惜しみなく伝授しようとしています。

 高温で登熟した年は、最後の出荷を行うまで全く気が抜けません。いつも以上に乾燥調製をじっくり丁寧に行って高品質米に仕上げ、家族で作り上げた「力作」の新米を出荷しています。新米「つや姫」お楽しみください!

【最上農業技術普及課】

オペレーターに指示を出す海藤力マイスター(右)

オペレーターに指示を出す海藤力マイスター(右)

2023.09.07

9月4日(月)「つや姫」、「雪若丸」の登熟はかなり早まっています!

 山形市みのりが丘にある農業総合研究センターでは、「つや姫」「雪若丸」の生育に関する情報を逐次提供しています。

 梅雨明け後は晴天が続き、気温が高く経過したことから、「雪若丸」は7月31日、「つや姫」は8月5日と、平年より3~4日早く穂が出ました。

 穂が出てから収穫まではお米が実る登熟(とうじゅく)の期間で、実り具合によって品質や食味に影響が生じます。今年の8月の高温は、これまで「つや姫」「雪若丸」が経験したことのないものとなりました。気温が高すぎると稲体の消耗が大きくなり、弱ってしまいますが、きめ細かな水管理をはじめとした丁寧な管理を行ったことで、ここまで順調に実っています。また、生産現場においてもしっかりと管理されており、順調に実っているようです。

 当センターでは例年より早く早生品種の収穫が始まっており、「つや姫」と「雪若丸」も間もなく収穫の適期を迎えます。今年もおいしい「つや姫」と「雪若丸」をお届けできるよう、登熟の状況や収穫のタイミングなど現場で役立つ情報を提供していきます!

【農業総合研究センター 土地利用型作物部】

「つや姫」の様子(8月31日)

「つや姫」の様子(8月31日)

「雪若丸」の様子(8月31日)

「雪若丸」の様子(8月31日)

2023.09.01

8月28日(月) いよいよ庄内平野で「つや姫」の収穫が始まります!

 猛暑が続いていますが、青く冴えわたる秋空とともに庄内平野に収穫の時期が来ました。酒田市亀ヶ崎のつや姫マイスター松田悟さんは、収穫作業の準備に大忙しです。手塩にかけてきた「つや姫」の田んぼは少しずつ黄金色に染まり、9月中旬からの収穫を前に、暑い中、畦畔の草刈りに汗を流しています。

 「今年は、穂が出てから異常な高温が8月いっぱい続き、圃場の水管理にとても苦労した。このような年は基本技術をいかにきちっとやっているかが、収量・品質に現れてくる。」とおっしゃいます。いつも以上にきめ細かに水管理を行い、「つや姫」が高温で消耗しないようにしてきました。「これほどの高温は経験したことがない。品質への影響が心配だが、苦労した分だけ、すばらしい出来栄えになると期待している。今年もおいしい『つや姫』を全国の消費者に自信をもって届けたい。」と収穫を楽しみにしていました。

【酒田農業技術普及課】

稲刈り前に草刈りを行う松田悟マイスター

稲刈り前に草刈りを行う松田悟マイスター

2023.08.22

8月3日(木) 「つや姫」づくりの技を学ぶin庄内

置賜地域つや姫マイスターの会では、県内の他地域の「つや姫」栽培の取組みを学ぶため、8月3日(木)に鶴岡市の鈴木仁氏の田んぼで研修を行いました。

鈴木仁氏は、つや姫マイスター制度発足時からのマイスターで、令和3年度「つや姫」おいしさの神コンクールでゴールドメダル(最上位賞)を獲得しており、庄内地域の「つや姫」栽培をリードする代表的な生産者です。

鈴木マイスターからは、稲作の信条として、日頃から田んぼを観察し、様々な方々と意見交換しながら栽培を進めていることを聞いた上で、新技術の衛星リモートセンシングを活用した生育管理技術をどのように取り入れているかについて具体的な意見交換がなされました。

惜しみなく米づくりの技を話していただき、参加した置賜地域のつや姫マイスターの方々は、気候や土の特性の違い、資材の選定、さらには、今年の田んぼの出来具合など、米づくりの話に花が咲き、予定した時間を超える熱心な研修となりました。

庄内平野に広がる夏空の下、米づくりの技やスマートつや姫の取組みをしっかり学ぶことができました。

つや姫マイスターは、たがいに笑顔で交流し、大変有意義な1日となりました。

【西置賜農業技術普及課】

鈴木仁マイスター(右から3人目)と置賜地域つや姫マイスター

鈴木仁マイスター(右から3人目)と置賜地域つや姫マイスター

2023.08.07

8月1日(火) 品種改良に用いる遺伝資源の維持に取り組んでいます。

 農業総合研究センター水田農業研究所(鶴岡市)では、庄内の篤農家、阿部亀治氏が明治時代に育成した「亀ノ尾」等の民間育成品種や昭和10年から昭和56年まで育種を行ってきた尾花沢試験地育成の品種・系統、昭和38年から取り組んできた当試験場の育成品種・系統をはじめ、全国の様々な品種、外国稲までもの約600品種の種子を保存しています。これら品種・系統の種子は品種改良の遺伝資源として用いることから、貯蔵庫で生命力を維持するよう5℃の低温で厳重に保管されます。貯蔵期間が5年以上になると発芽力の低下が顕著になるため、5年に1度、更新を行います。

 遺伝資源の中には、本県の主力品種「はえぬき」「つや姫」「雪若丸」をはじめ、酒造好適米「雪女神」等の両親の品種・系統も含まれます。過去に栽培されていた品種や品種までに至らなかったものの優れた特性を持つ系統がほとんどであり、5年に1度、稲姿を見ることができる貴重な機会です。出穂期や草姿等を調査し、特性を記録するのですが、圃場に出かけるのが楽しみになるくらいワクワクします。

 品種の系譜をたどりながら、育種のルーツを思い浮かべ、品種として世に出るまでの苦労や努力を想像すると、育種に取り組んできた先人たちの偉大さを実感します。今年度、水田農業研究所では62組合せの交配を計画し、現在はその作業の最盛期となっています。得られた各組合せの種子は最大約10万個体まで養成されます。それでも、先人の育種功績に追いつくには果てしない道のりですが、稲作現場の改良につながる優れた品種を開発できるよう取り組んでいきます。

【農業総合研究センター水田農業研究所】

出穂時の調査の様子

出穂時の調査の様子

様々な稲の様子(まるで田んぼアート)

様々な稲の様子(まるで田んぼアート)

2023.07.31

7月24日(月) 食味と粒張りのバランスのとれた「つや姫」づくりを目指して

 約25haの水田を管理する高畠町の金子和徳マイスター。今年の水稲の生育は、田植え後の日照不足と強風の影響で遅れ気味でしたが、現在は順調に回復し、「つや姫」は元気に育っています。

 「今日ちょうどドローンでミネラル資材を散布するから、見ていく?」そう話す金子マイスターは、今年就農10年目です。以前は、「つや姫」の食味が良くなるように、追肥の量をかなり控えていました。しかし、ある年、お客さんから「今年は粒が小さいね」との声をいただき、食味を気にして肥料の量を抑えすぎてしまっていたことに気づき、食べて満足してもらえる「粒張り」も大事だと感じたそうです。今年も「つや姫」の生育診断を行った上で栄養状態を見極め、窒素量で0.8kg/10a程度を追肥しました。また、今の時期はミネラル資材やケイ酸資材を散布し、おいしくて粒張りの良い「つや姫」ができるよう工夫しています。

 最近は、経理や資材等の在庫管理などの事務作業改善を図るべく「RPA(Robotic Process Automation)」の研修に通うなど、経営改善にも積極的に取り組みつつ、地域の「つや姫」良食味生産をけん引する期待のマイスターです。

【置賜農業技術普及課】

ほ場の前で素敵な笑顔を見せる金子マイスター

ほ場の前で素敵な笑顔を見せる金子マイスター

ドローンでケイ酸資材を散布する金子マイスター

ドローンでケイ酸資材を散布する金子マイスター

2023.06.29

6月26日(月) 消費者目線に立って、おいしさの追究!

 今年でマイスター4年目となる三川町の齋藤学さんのこだわりは、アイガモ農法による有機栽培。毎年、アイガモが圃場を泳ぎ回っての雑草の発生を防いでくれています。稲が力強く育つよう堆肥を施用した土づくりにも力を入れていて、アイガモの除草効果と合わせて人にも地球にもやさしい米づくりを実践しています。

 「脱サラ後就農し、仕事内容が大幅に変わったことで、はじめは体力が続かなかった。農作物は収穫・出荷するまで気が休まらない。」と齋藤マイスター。当初は、教科書に基づいた栽培管理を重視したあまり、日々の気象変化や稲の状態を考慮した管理ができず、品質が思ったよりも高まらないこともありました。当然、消費者の評価も高まらず、「消費者の目線に立ち、美味しくて喜んでもらえる米づくり」を目指して奮起しました。

 そこからの齋藤マイスターは、「美味しさへの追求」を極めようとチャレンジしていきました。また、新しい技術に失敗しても、必ずそこから何かを学ぶ努力を怠りませんでした。今では、食味コンクールでの入賞を重ねるほどとなり、ふるさと納税や産直通販サイトにも出品していて、固定客も順調に増えています。

 次世代を担う農業者としても地域から期待されている齋藤マイスター。「近年、担い手生産者の作付面積が増える中で、省力化も重要な課題だけれど、基本技術はおろそかにできない。今は、根張りを良くするための中干しの時期。しっかりと栽培管理を行っていく。」と作溝作業の合間に、汗だくになりながら熱く語ってくれました。そして、「収穫した『つや姫』がお客さんの口に入って喜んでもらっている姿を想像しながら、美味しい『つや姫』を作り続けていきたい。」とも語ってくれました。

【庄内農業技術普及課】

座右の銘は「百聞は一見にしかず」と齋藤マイスター(6/16)

座右の銘は「百聞は一見にしかず」と齋藤マイスター(6/16)

乗用管理機で作溝を切る齋藤マイスター(6/23)

乗用管理機で作溝を切る齋藤マイスター(6/23)

2023.06.27

6月21日(水) 最上級の米を目指して

 最上地域北部、真室川町の齋藤賢人さんは、新進気鋭のつや姫マイスター。

 就農から10年、両親とともに大規模に稲作を展開しており、約18haの圃場で「つや姫」をはじめ、糯米から酒米まで様々な品種を栽培しています。

 「自分にはベテランのマイスターのように長年の経験は無いので、様々な情報を得て、自分の圃場に必要な技術を取り入れて実践しています。」という齋藤マイスター。

 苗づくりや初期直後の生育初期の管理は米の食味・品質・収量に直結する重要なポイントと捉えており、育苗においてはローラー等を活用して充実度の高い苗に仕上げて移植し、その後の水管理では、日中の止水、水深2~3cmの浅水管理について特に注意を払っています。また、妥協することなく全ての品種・圃場で、生育に合わせた穂肥を行っており、衛星リモートセンシングを活用した「つや姫」の生育管理技術等のスマート農業技術を駆使した米づくりにも取り組んでいます。さらには、圃場ごとに食味分析をすることで翌年の管理や肥培設計の改善に繋げています。地域の農業の担い手としても期待度の大きい齋藤マイスター。

 今年も最上級の米を探求し、皆様にお届けいたします!

【最上農業技術普及課】

「つや姫」ほ場を紹介する齋藤マイスター

「つや姫」ほ場を紹介する齋藤マイスター

2023.05.29

5月26日(金) 「つや姫」「雪若丸」の田植えから1週間

 山形市みのりが丘にある農業総合研究センターでは、5月19日(金)に作柄診断圃の「つや姫」「雪若丸」の田植えを行いました。今後、10日毎に生育状況を調査・診断して、今年の生育が過去の年次と比べて良好かどうか等、県内の生産者や現場指導者の皆様に情報提供していきます。

 今年の5月は、最低気温がとても低い日があった一方で、5月18日(木)には山形市で5月の観測史上最高となる34.6℃が記録されるなど、気温の変動がとても大きくなりました。育苗ハウス等の温度管理は非常に大変でしたが、概ね良好で充実した良い苗となり、田植え後の生育も順調に進んでいます。

 今年も、おいしい「つや姫」「雪若丸」を全国の食卓に届けられるよう、生産者や現場指導者の皆様が必要な情報を、タイムリーにお伝えしていきます!

【農業総合研究センター】

つや姫ほ場の状況

つや姫ほ場の状況

雪若丸ほ場の状況

雪若丸ほ場の状況

2023.05.25

5月10日(水) 最高の苗で「つや姫」の田植えをスタート!

 太陽が光差し、穏やかな風が吹く5月10日、酒田市坂野辺新田のつや姫マイスター佐藤勝さんは、田植え作業をスタートしました。手塩にかけて育てた「つや姫」の苗で、田んぼは緑色に染まって行きます。

 4月、ハウスで育苗管理を行っている勝さんを訪れた際、「今年は健苗ローラーを使って、茎が太く、根張りの良い、健苗に仕上げる」と作業をされていました。佐藤マイスターは、「良い苗になれと気持ちを込めて“毎日”ローラー作業をしたことで、今年もとても充実した苗を作ることが出来た」と、語ってくれました。

 5月に入り、いよいよ田植えを迎えました。非常に根張りが良く、丈夫で健康的な苗が次々と植えられていきます。佐藤マイスターも苗の出来栄えに納得の表情を浮かべています。佐藤マイスターは「栽培技術の基本がとても重要」と話しながら、苗を植えるときの“深さ”や1株あたりの“苗の本数”を入念に確認しながら田植えをしていました。田植えが終わった田んぼを見ながら「『つや姫』の栽培を何年も続けているが、毎年天候は違い、管理のやり方もそれに合わせて変える必要がある。秋には立派な穂が実り、おいしい「つや姫」として収穫できるように気を付けて管理していく。」と、意気込みを話してくれました。

【酒田農業技術普及課】

「つや姫」の苗を田植え機にセットする佐藤マイスター

「つや姫」の苗を田植え機にセットする佐藤マイスター

お手製の健苗ローラーを引く様子

お手製の健苗ローラーを引く様子

2023.05.10

4月28日(金) 最高の「つや姫」を作るための最高の苗作り! 西村山地域で「つや姫」「雪若丸」等県産米健苗育成巡回を実施(寒河江市、河北町)

 寒河江市のつや姫マイスター土屋喜久夫さん、河北町のつや姫マイスター奧山喜男さんの育苗ハウスで、「つや姫」等の苗の生育状況を確認する育苗巡回が行われました。

 「苗半作」と言われるほど、水稲の苗づくりは大事な栽培管理の一つです。稲作農家の皆さんは、健康で丈夫に育った苗が田植え後、順調に生育していくことを経験的に理解しています。

 美味しい「つや姫」の栽培を追求する二人の苗は、正に「理想の苗姿!」。丁寧な種まき、細やかな温度管理、適正な肥培管理によって、緑鮮やかで茎が太いずんぐりした苗に育っていました。

 「気温の変化が激しい日が続き、温度管理が大変だったが、順調に苗を育てることができた。気温が高い日がまだまだ続くので気を抜かず、丁寧に管理して最高の苗をつくり、最高に美味しい「つや姫」を収穫したい」と、土屋マイスターは意気込みを話してくれました。

 今年の「つや姫」にもどうぞご期待下さい!!

【西村山農業技術普及課】

「つや姫」の育苗状況を説明する土屋マイスター(右)

2023.04.28

4月21日(金) 新品種開発に向けタネ播きスタート!― 「つや姫」「雪若丸」に続け ―

 「つや姫」「雪若丸」を育成した農業総合研究センター水田農業研究所(鶴岡市藤島)では、苗づくりのための播種作業が4月13日から始まりました。

 稲の品種開発では、数百種類の種子を遺伝資源として扱い、栽培して交配等に用います。各品種の種子量は数十グラムと少量であるため、育苗箱を細かく仕切って手作業で播種しています。

 一粒一粒の種類が異なるため、ピンセットで播種するものもあり、今年から新たに加わった2名の新任のスタッフは、先輩の研究員から「一粒たりとも種子が混ざらないよう注意する」など、播種の仕方や注意点などの指導を受け、緊張しながら作業を行なっていました。

 この日に播種されたものは、5月10日に研究所内の試験圃場を同じように細かく仕切って手作業で田植えが行われます。

 今年度は、猛暑でも実りの良い稲、病気に強い稲、肥料が少なくても良く育つ稲の開発に取組んでいます。

 地球温暖化や担い手不足など、米づくりの抱える課題解決に品種の力で貢献できるよう積極的な研究を進めていきます。

【水田農業研究所】

先輩研究員の指導のもとタネ播きをする新任スタッフ

先輩研究員の指導のもとタネ播きをする新任スタッフ

育苗ハウスの温度管理について指導を受ける新任スタッフ

育苗ハウスの温度管理について指導を受ける新任スタッフ